大相撲の中継を見ると力士には「十両」「小結」などの階級があるのがわかります。

これが番付と呼ばれるものですが、最初は意味がわからないですよね。

例えばどうすれば十両になれるとか、小結になれるとか、特定の番付(階級)になるための条件はどうなっているのでしょうか?

まず番付は、階級が下位から上位の順に、『序の口、序二段、三段目、幕下、十両、幕内(前頭、小結、関脇、大関、横綱)』の順番です。

東西の番付前場所の成績順になっており、東が上位です。

そして、『勝ち越し』、『負け越し』とういうものが常に番付の移動に関連します。

基本的なルールは、

幕下までの番付は1場所7日なので4勝したら勝ち越しです。

十両以上の番付は1場所15日なので8勝したら勝ち越しです。

そして勝ち越したら番付が上がります。

逆に負け越したら番付が下がります。

関脇までは基本的にこのようなルールで番付(階級)が上がったり下がったりします。

ですので、例えば十両になるのには、その下の番付である幕下の中でも上位(枚数が上)の状態で勝ち越せばいいわけです。

これが基本的な相撲の番付の意味です。

 

ですが、日本の国技である相撲という競技のことを、日本人としてもっと知っておきたくはないでしょうか。

ですので記事ではもっと掘り下げます。

まず、相撲の「番付」の東と西の意味、次に番付の上位と下位が一目でわかる一覧と、番付の順位・順番ごとに人数がどれくらいいるかを見ていきます。

そして、関取の番付ごとの昇進と降格の条件を見ていきます。

さらに気になるのが、番付・階級ごとのテレビ中継の有無です。これについても解説します。

最後に、番付による給料や待遇の違いを見ていきますね。

では、順番に詳しくみていきましょう。

目次

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相撲の番付の意味あれこれ(東と西、一覧、人数、昇進降格のルール)を解説!

番付表

出典:https://ja.wikipedia.org

番付とは、冒頭で説明したの基本的な意味・ルールからわかるように、相撲界での各力士の力量・本場所での成績を階層で表した順位表のことです。

まず気になるのが、『東と西』です。いったいこの区別にはどういった意味があるのでしょうか?

相撲の番付の意味1:東西の意味は?

大相撲の中継を見ると、土俵の右側(西)から出てくる力士と、左側(東)から出てくる力士がいることに気が付くと思います。

(行司さんから見ると右側が東、左側が西です)

これが相撲の『東と西』ですが、これにはどのような意味があるのか気になりますよね。

相撲の『東と西』にはこんな由来があります。

かつての大相撲には、東には東の力士、西には西の力士がいました。

そして、今のように 全ての力士が番付上に並んでいるのではなく、東は東どうし、西は西どうしで番付が決められていました。

このような歴史があっため、東と西が分かれていていたんですね!

つまりは、昔相撲が東西対抗だった名残というわけです。

東西の分け方は、所属部屋や所属一門、出身地、年齢など何も影響せずに東・西が決まっています。

 

また、取り組みは同じ部屋どうしの対戦がないように組まれています。

(はっきりしたことはわかりませんが、一説では八百長を防ぐためと言われています)

そして、冒頭でも説明しました通り、東西の番付前場所の成績順になっており、東が上位です。

西が横綱の力士、東が関脇の力士という対戦を見ることがありますが、これは前場所の成績が関脇の力士の方がよかったからです。

また、同じ番付どうしなら東の方が上位(半枚上)ということが決まっています。

このルールは、昇進の際、同条件で勝ち越した場合、どちらの力士が昇進するかの目安となり、細かいですが重要なルールです。

(例)・番付が小結の力士が8勝7敗、西・番付が小結の力士が8勝7敗で、

関脇の枠があと1つというとき、東の力士が昇進します。

相撲の番付の意味2:番付一覧表と順位・順番ごとの人数

番付といえば、どの番付にそれぞれ何人いるか気になりますよね?

でも番付ごとに説明してもなんだか雑然としてしまいそうですので、一覧表にまとめてみました。

これで順位・順番も一目瞭然で、それぞれ番付ごとの人数もわかりますね!

相撲の番付一覧表

番付人数
幕内横綱いなくてもよい
大関必ず1名はいる
関脇東西に1名ずつ。必ず1名はいる
小結東西に1名ずつ。必ず1名はいる
前頭東西1~ 16枚目まで32名
十両
東西1~ 13枚目まで26名
幕下東西1~ 60枚目まで120名
三段目東西1~ 100枚目まで200名
序二段約350名。人数は固定されていない。力士数が最も多い。
序ノ口約100名。人数は固定されていない

上2つの階層である「幕内」と「十両」は「関取」と呼ばれ、一人前の力士として扱われます。

「十両」になってやっと給料がもらえるようになるそうですから、それは大きく待遇が違いますよね!

「大関」「関脇」「小結」は三役とも呼ばれますが、「大関」だけは横綱ができる前まで最高位だったため、三役の中でも別格扱いです。

前頭は別名「平幕」とも呼ばれます。

これは前頭は三役から外れているので、一説では『役についていない幕内力士』という意味でこのような呼び名が付いたということです。

参考:wikipedia

相撲の番付 順位・順番ごとの人数

人数については表に書いた通りですが、意外と多いことに驚きます。

表に書いた人数の他に、幕内力士の定員は42名以内と定められています。

やはりこうして見ると幕下以下と十両以上の人数の差はすごいですね。

関取(十両以上)は42名(幕内)プラス26名(十両)で68名が最大ですが、幕下以下は最下位の序ノ口だけで約100名もいます。

全体の力士が約838名と考えると、関取はたった8パーセントです。

関取(十両以上)になるためにどれだけ勝ち上がらなけばならないのか、厳しさがこの数字に現れていますね。

ところで、横綱がいなくてもいいということは調べてみてとても意外でした。

それだけなるのが難しい階級だということを物語っていますね!

相撲の番付の意味3:番付ごとの昇進と降格の条件は?(幕内・十両)

相撲の各番付の昇進と降格の条件は何なのでしょうか?

冒頭でも説明しましたが、関脇までは『勝ち越せば番付が上がるし、負け越せば番付が下がる』という基本的なルールに従って昇進や降格が決まります。

けれど細かく異なるルールもあるので、この記事では人気、順位ともに高い関取(「幕内」「十両」)の昇進と降格の条件を見ていきます。

横綱への昇進と降格の条件

横綱への昇進の条件は、大関で2場所連続優勝するかそれに準ずる成績を取った場合です。

では、優勝に準ずる成績という場合はどのような場合なのでしょうか?

過去に例がありました。

鶴竜が2場所連続で14勝1敗という成績だったため、「優勝に準ずる成績」と見なされ横綱に昇進しています。

そして、横綱の降格はありません。

ということは、横綱が成績が思わしくなくなったら引退という選択肢しか残されていないことになります。

最高位なだけあり、厳しいですよね。

大関への昇進と降格の条件

大関への昇進の条件3場所連続3役で、その3場所で通算33以上の勝ち星です。

例えば、豪栄道は現在「大関」ですが、2場所連続優勝すれば横綱になれます。

栃ノ心は現在「関脇」ですが、平成三十年一月場所の成績は「14勝1敗」、

さらに、平成三十年三月場所の成績は「10勝5敗」でした。

ということは、次の場所で「9勝6敗」以上の成績で勝てば「大関」になれます。期待が高まりますね。

(※2018年5月9日時点の番付です)

 

逆に降格の条件は、2場所連続の負け越しです。

大関が1場所負け越した場合、その次の場所は、負け越すと大関から降格になってしまうため、「角番(かどばん」とも呼ばれています。

プレッシャーのかかるネーミングですね。

 

これは特別ルールなのですが、降格した元大関は復活のチャンスが残されています。

関脇に降格したその翌場所で10勝以上した場合に大関に戻ることができるのです。

これはとても面白いルールで、大関がとても重要視されていることがわかりますね。

関脇への昇進と降格の条件

関脇への昇進の条件は特にありません。

前場所で成績優秀だった小結が昇進するケースが多いです。

降格の条件は負け越しです。

小結への昇進と降格の条件

小結への昇進の条件は特にありません。

前場所での番付と成績を考慮して、上位2名が関脇、その次の成績の2名が小結となることが多いです。

降格の条件は負け越しです。

前頭(平幕)への昇進と降格の条件

前頭(平幕)への昇進の条件は、特に決まっていません。

けれど、前頭(平幕)から上は幕内となるため、昇進の条件は少し厳しそうです。

たとえ十両優勝を遂げても、必ず幕内に上がれるという保障はなく、その場所の十両での地位や成績、

番付の空き具合などもろもろを考慮された上で昇進が決まります。

降格の条件は負け越しですが、前頭には筆頭と呼ばれる1枚目から、16枚目まであり、

負け越しても枚数が下がるだけで必ず十両に下がるわけではありません。

基本ルールは、負け越した数だけ枚数が下がるというものです。

例えば、前頭14枚目のときに6勝9敗で負け越したとします。

他の力士の順位や空き状況などで総合的に判断されるので、確実にそうなるとは限りませんが、

この状況ですと9マイナス6で3枚下がるので、存在しない17枚目となり十両に格下げになってしまいます。

 

余談になりますが、前頭(平幕)が横綱に勝つことを『金星』と言います。

金星を取ると、力士褒賞金(りきしほうしょうきん)の支給標準額が上がるだけでなく、三賞『殊勲賞(しゅくんしょう)・敢闘賞(かんとうしょう)・技能賞(ぎのうしょう)』の選出対象となりやすく、特に選出されるのは殊勲賞です。

これから横綱のように強くなって欲しいという期待が込められているのでしょうね!

十両への昇進と降格の条件

十両への昇進の条件ですが、幕下筆頭(1枚目)が勝ち越した場合

または、幕下15枚目以内で7戦全勝した場合です。

(※1場所内で幕内力士は15番勝負ですが、幕下力士は7番勝負です。)

降格の条件は負け越しですが、前頭には筆頭と呼ばれる1枚目~13枚目)まであり、

負け越しても枚数が下がるだけで必ず幕下に下がるわけではありません。

十両の場合も、負け越した数だけ枚数が下がるという基本ルールが存在します。

関取(幕内・十両)の昇進と降格の条件まとめ

関取の昇進と降格の条件をまとめると以下のようになります。

関取の番付昇進の条件降格の条件
幕内横綱大関の地位で2場所連続の優勝か、それに準じた成績なし
※成績が横綱にそぐわない場合、引退
大関3場所連続で三役で、その3場所通算の勝ち星が33以上
※関脇に降格した次の場所で10勝以上すれば大関に復活
2場所連続の負け越し
関脇特に規定なし
成績優秀な力士
負け越し
小結特に規定なし
成績優秀な力士
負け越し
前頭(平幕)特に規定なし
成績優秀な十両力士
負け越し
※枚数による
十両
幕下筆頭(1枚目)で勝ち越す
または、幕下15枚目以内で7戦全勝する
負け越し
※枚数による

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テレビで中継されている相撲の番付は?

さて、普段私たちが見ているNHKでの放送は、どの番付が映っているのでしょうか?

なんと、普段地上波で放送されているものは、十両の後半と幕内以上の取組です。

(※国会中継などにより幕内前半までは地上波で放送されない場合もあります。)

普段BSを見ない人は、幕下の力士は全く見ていないことになります。

やはり、幕下・十両と幕内ではだいぶ待遇の差がありますね。

 

それでも、十両前半および幕下の取組も見たい!という人もいるかと思います。

そんな人はBSで放送されていますのでチェックしてみてください。

 

さらに三段目以下の取組が見たいという人は、AbemaTVのSPORTSチャンネルで視聴が可能(無料)ということです。

相撲ファンは要チェックですね。

番付の順位・順番による給料の差は?

力士の月収 やはり夢のある職業

非常に多くの階級に分かれている相撲界ですが、給料はどのように決められているのでしょうか。

力士の給料は、月給や賞金を日本相撲協会から受け取るという仕組みになっています。

この中で月給が支給されるのは、全体の10%にあたる十両までの力士です。

けれど、十両以上になれば、月給で、横綱282万円、大関234.7万円、三役169.3万円、平幕130.9万円、十両103.6万円という給料を受け取ることができます。

サラリーマンの平均月収を調べてみると、約35万円ですからそれに比べるとやはり夢のある職業ですよね!

参考元:https://ten-navi.com/hacks/article-52-12847

力士の年収 十両になればいきなり1000万円プレーヤー

そして、年収換算すると力士全体の平均は1600万円ほどです。

このように力士はかなりの金額を稼ぎ出しますが、経費もその分多くかかってしまい、手元に残るお金は少ないといいます。

それでも、十両になるまでは無給で、十両になればいきなり1000万円プレーヤーです。

横綱は3380万円、大関は2800万円という額の給与がもらえることとなりますから、

「地位や名誉のために強くなるわけではない」という力士も大勢いるかとは思いますが、これはまさしく大きなモチベーションになるでしょう。

すごい!と思いつつ、幕下以下の力士が給料がないという現実。

うーん厳しい!

力士と他のスポーツの年収の比較 引退後も魅力な相撲の世界

相撲はスポーツ全体で見ると5番目の給料の高さです。

オリンピックの際には毎回注目を浴びるフィギュアスケート選手約1000万円とされています。

続いてサッカー選手ですが、約2000万円と言われています。

ただし、非常に幅があり、メッシやクリスティアーノロナウドといったトッププレイヤーは、数十億円もの収入があります。

では最も平均年収が高いと言われているのは、どのスポーツでしょう。

それは、野球選手です。

野球選手は平均年収4100万円と言われており、高卒の選手でさえ1000万円の場合もあるそうです。

 

相撲はスポーツ全体で5番目の給料の高さですが、引退後も理事長になれば2000万円ほどの年収があり、行司でも500万円ほどの年収があります。

このように引退後の道もある程度確保されているところも、魅力の一つかもしれません。

力士の月収以外の収入

力士が受け取ることができる収入は月給の他に賞与があります。

賞与は9月と12月に1ヶ月分の月給が賞与として支給されます。

さらに本場所特別手当、出張手当、力士補助金、力士報奨金、懸賞金などが与えられます。

引退後は、退職金や懸賞金の納税充当金や、特別功労金などが与えられます。

納税充当金まであるとは!

こうして見ると結構手厚いですね。

国技ですからある意味ある程度の地位になれば公務員的な保障なのでしょうね。

着るものや身の回りの物が違う 番付の順位・順番による待遇の差

番付の順位・順番による待遇の差を上の番付から見ていきましょう。

幕内と十両は、一人前の力士と認められ、大銀杏(おおいちょう)が結えます。

大銀杏(おおいちょう)とは力士のまげの上の部分を銀杏の形のようにしたもので「ちょんまげ」と区別されます。

また、紋付(もんつき)の羽織と袴(はかま)を着て、白い足袋に雪駄(せった)を履くことができ、控えで座布団をしくことができます。

ここでも幕内・十両と幕下の差が出てきます。

幕下以下は、髪はちょんまげで、控えでは敷物はありません。

中でも、幕下は黒い足袋と雪駄を履くことができますが、三段目や序二段は足袋を履くことができません。

このように番付の階級によって着る物や身の回りの物が違ってくるのですね。

他のスポーツではこのようなことは見られませんから、日本の伝統・国技という色合いが強いことがわかります。

 

とはいえ、勝負では裸どうしでぶつかり合う世界。

伝統で決まっていることとはいえ、着るものが違うというのはあまり本人たちは意識していないのではないでしょうか。

それよりも生活がかかっている給与面での待遇の違いには、かなり感情的に左右されそうです。

日本の国技である大相撲 意外と知らないことだらけ

相撲の番付について、東西の由来から番付の一覧、番付それぞれの人数、昇進の条件、給料、待遇の差といろいろ見てきました。

国技でありながら知らないことだらけだった相撲の世界。

決まりが多いということだけでなく、とても厳しい勝負の世界であるということも垣間見ることができました。

これから大相撲を観るときには、勝ち負けだけでなく、力士どうしの番付争いに注目してみると面白い発見があるかもしれませんね!

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